僕らの道しるべ

スタッフサチコ
今年は全世界にとっても、誰にとっても、ランニング業界にとっても大変困難な年でした。

世界がこうなるなんて一年前は思っていなかったけれど、そんな困難な年に当店には激震が走りました。

店長ORAOの事故



すでにニュースやこのブログをみてご存じの方も多いと思いますが、店長ORAOは7月26日にトレイルランニングの途中、水難事故にてこの世を去りました。

このことを振り返ることで、傷つく人がいたりしんどい気持ちになったりする人がいるのではないかとも思い、また自身や家族も辛さが増すのではないかとも思い悩みましたが、トレイルランニングショップとしてやはりこれを避けてはいけないと思いブログで振り返ることとしました。

あの日は取材撮影の仕事で「ドボン」(トレイルランニングでは夏場山を走って、川で涼をとることをドボンと呼んでいます)ができるコース紹介で山に入っていました。

そのコースは何度か下見しており、当日は人を連れて写真を撮りにいくというものでした。

7月は雨が多く、なかなか休みを合わせていく日がなかったこと、次の日から名古屋店移転のため名古屋に泊まりこみであったことなどもあり決行した状況でした。

なぜ増水していた川に入ったのか、

おそらく何度も行っていた場所であること、下見もしており10日前も同じような腰ほどの水位であったこと

また、コロナ禍で落ち込みがあり、なにか少し焦りがあった精神状況と

コースに対しての慣れと油断が店長の危険察知能力を緩めてしまったのではないかと私なりに考えています。

それがあっているかどうかは分かりません。



どういう理由があったにせよ、このことで多くの方を巻き込み迷惑をかけてしまったこと、大切にしている人たちの心を傷つけてしまったことをなにより本人が悔やんでいると思います。

ランニングが楽しく安全であることを何より望んでいる人でした。

滝は増水すると滝つぼと呼ばれる穴ができることがあり、増水した水の勢いで抜けることができなくなるそうです。

滝自体には近づくことはなかったものの、滝より少し離れたところに滝つぼと呼ばれる穴ができており、そこに引き込まれる形で命を落としました。

実際にその滝つぼは人ひとりが入るほどの小さなものだったそうです。

山でありながら川での事故。

そういった危険性があることをきちんと私たちの口から伝える必要があったと思いつつ、日常の忙しさに流されて5か月経った今、このように振り返ることになりました。

これからもトレイルランニングを楽しんでもらえるように当店も尽力したい、そしてこのことを広くお伝えしたいと思いブログに書くこととしました。

このことで心が揺さぶられる人もいるだろうけれども、それでも前に進んでほしいという天からの声が聞こえるので書くことに後悔はしないつもりです。

それを確認するために先日事故のあった滝にスタッフたちと一緒に行ってきました。

当日の店長ルートで。けっこうしんどかった(笑)



六甲山頂ではお決まりのポーズ。



ルートは間違えてしまってきちんと辿れなかったので、また来年の宿題になりそうです。

そして滝に。

正直行くまでは心がざわついてしまい行くのが怖かったけれど、着くとそれまでの心の動きはなんだったのかと思うほど、その場が美しかったのです。

そこになにか思いなど残っていたらどうしようとちょっとだけ思っていましたが、潔いほど何も残ってなかったのです。

美しい自然しかなかった。そのことでどれだけ心が救われたか。



店長は行くべき道を知っている人で、いつも私たちのそばにはいるけれど、思いはそこにはないことを知ることができてよかったです。



店長が好きなカレーせんべいを開けて食べて、ビールをいただきました。



燃えるような紅葉に見とれて





あまりの美しさに写真を撮ろうとしたら…





手元に持っていたビールを忘れており、一人ビールかけ…

ビールを頭からかけてしまい、びっくりしました。

周りのスタッフも唖然‥‥

そして爆笑。



店長のいたずらではないか?と思っています(人のせい笑)

ちょっとしんみりした雰囲気だったのに、ただの楽しいハイキングの雰囲気に。

店長がなに山でしんみりしてるんや!と言っているみたいでした(笑)



今回の出来事は私たちの心にもこのことを知った方たちの心にも深い傷跡を残しており、そこから前へ向いて進むことが辛いこともあると思います。

それでも店長は前に進んでほしいと思っていること、思いは残さず託してくれていると改めて思うことができ、あの場に行くことができてよかったです。



困難な今年ももうすぐ終わり。

新たな年を迎えようとしています。

起こってしまったこと、店長ORAOが亡くなったその事実は変わることはないけれど、それでも店長が生きてきた軌跡をたどることで、また新たな歴史を生むこともできるのではないかと、

私たちは前へ前へ進んでいきたいと思っております。

最後まで読んでいただきありがとうございました。



スタッフ一同






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