10年後のUTMB

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〜10年ぶりのUTMBを訪れて〜

2015年のUTMBの記憶

石川弘樹さん、奥宮俊佑さん、小川壮太さん、土井陵さん、大瀬和文さん、小原将寿さん…。日本の名ランナーたちが出場した2015年のUTMB。私自身もその年にシャモニーを訪れました。

当時の目的は、店長ORAOが初開催だった52kmのOCCに出場し、そのゴール後にUTMBを観戦すること。

店長ORAOのタイムは 6時間17分54秒。スイスの英雄「スイスマシーン」ことウーリー・スティックと競り合い、最後は競り勝って 21位でゴール。シャモニーの街はウーリーの帰還で大盛り上がり、その熱気の中に飛び込んだORAOもまた拍手で迎えられました。


「ウーリーは四つ足で走っていた」――そんなことを言っていました。

今振り返ると、当時のUTMBはまだアイアンマン傘下になる前で、世界最高峰のレースでありながら、どこか伸びやかな空気が流れていたように思います。


 

HOKAからの招待で再びシャモニーへ

そして2025年。HOKA JAPANからのご招待をいただき、10年ぶりにUTMBを訪れることになりました。

「専門店にUTMBを見てほしい」――そんなシンプルな依頼でした。

正直、最初は何をすればいいのか分からなかったのですが、「見てくれたら良い」という言葉をそのまま受け止め、自分なりに感じたことを記録しておこうと思いました。


 

10年後のUTMB

10年ぶりに訪れたシャモニーは、すでに到着した3日前からお祭りムード最高潮。カテゴリーも増え、人の数も多く街中はランナーと応援で溢れていました。

特に目についたのは アジアからの参加者の多さ。中国だけでUTMBワールドシリーズが5つもあるそうで、その存在感は当然かもしれません。実際、kaga spa endurance100でもアジア勢の多さを実感していたので、世界的な流れを改めて感じました。


ULTRA-TRAIL® VILLAGE には、世界中のブランドがブースを構えていましたが、正直知らないブランドも多かったです。日本に入ってきていないものが多く、少し取り残された気持ちにもなりました。その中でひときわ大きな存在感を放っていたのがメインスポンサーのHOKA。日本でも心斎橋に直営店がオープンし、東京にも二店舗予定とのことで、その本気度を強く感じました。


日本人選手と今後への課題

日本からの参加は少なく感じましたが、ルクタスのツアーだけで90人近くが訪れていたとのこと。カテゴリーが増えているので単純に比較はできませんが、日本以外のアジア勢の存在感が強く、日本人選手が苦戦している印象は否めませんでした。

海外での活動には資金やサポートが不可欠です。十分な後ろ盾がない状態での遠征は、選手の負担も大きいことでしょう。

7月には土井陵さんと小原将寿さんが「日本代表選手応援イベント」を東京で開催しましたが、まさに選手ファーストの取り組みだと感じました。こうした動きがもっと広がり、日本のトップ選手が本来の力を発揮できる環境を整えていくことが、日本のトレイルランニングの未来につながるはずです。

スタート前 HOKAアスリート宮﨑喜美乃さんと。来年のリベンジも応援したい。

 

トレイルランニングをもっと身近に

同時に、トップ選手の世界だけでなく、もっと身近に「トレイルランニングを楽しむ場」も大切だと思います。

今年6月、未来図さま乗鞍高原観光センターさまと開催した「RUN&WALK NORIKURA」では、イベント以上レース未満の大会を目指して、走ったり歩いたりもOKのイベントをしました。

普段走っていない方にも乗鞍の自然を感じてもらえ、体を動かす爽快さで心も体も洗われるような体験になりました。そこがトレイルランニングの魅力でもあります。こういった体験を多く、たくさんの人に伝えていくことがメーカーや専門店がタッグを組んできる一つだと思います。

 

商品テイスティングを兼ねてグループランニング。各国のトップ陣も一緒に歩いたり走ったり。

 

走ったり、歩いたり・・・前に進むことでまた前向きになる。トレイルランニングは、ただハードなスポーツではなく、自然と向き合い、自分の体を感じ、前に進む力を与えてくれるもの。

10年ぶりにUTMBを訪れて改めて、世界の最高峰の舞台と地域での身近な体験、その両方が大事だと強く思いました。


 

「楽に走る」――HOKAのコンセプトでもあるこの言葉は単なるキャッチコピーではなく、トレイルランニングをより広く、そして深く根付かせていくためのメッセージ。

UTMBという最高の舞台を目の当たりにし、10年先のトレイルランニングの発展のために、当店も専門性を持ってトレイルランニングを安全に楽しめる環境づくりに本気で取り組んでいきたいと強く思います。

最後になりましたが、この度のUTMB視察にご招待いただきましたデッカーズジャパンさま

ありがとうございました。

 

 

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